りこです。
今回はわたしの行政書士のXアカウントでも投稿した記事を
記録としてこちらにも載せようと思います。
インスタグラムのストーリーでも何度か書いていますが、
わたしの中で、思い入れのあるお話です。


わたしは1年に何回か紙巻タバコを吸う時があります。
それは自殺した叔父の墓の前です。

叔父と自分のタバコに火をつけ、
ひとつお供えしながら煙をくゆらすとかすかに記憶の中にある
叔父の匂いが蘇ってきます。

「叔父さん臭いから近づかないで」

そんなことを言えたのももう遠い昔。
今ではとても懐かしい匂いとなりました。

昨日は、今回の帰国の目的のひとつである祖父母と叔父、叔母の墓参りへ行ってきました。

親戚も高齢になり、段々と足が遠のく中何故かわたしは定期的に足を運んでいます。
今回も、朝から運転手を叩き起こし2時間の道のりを経てみんなに会いに行きました。

叔父の自殺の原因は未だに誰も教えてくれませんが、
話を繋げると相続絡みかわたしの父親の不動産投資の失敗だろうと想像しています。
蓋を開けたら親戚一同が父親の連帯保証人になっていたそうです。
父の借金は20億程度と聞いています。

貧乏だったわたしは18歳ですぐに実家を出て、
一時期戻りましたがまた決別してもう実家とは一切連絡を取っていません。
でも、幼心によく遊んでくれた叔父のことは思い出してはたまにこうして墓参りをしています。

叔父はずっと自慢していた自分の愛車に排ガスを引き込んで亡くなっていました。

「社長、起きてくださいよ!」

そう言って泣きながら遺体にしがみつく叔父の会社の従業員の姿は今でも忘れられない光景です。

後にも先にも見ることはないであろうくらいに号泣する父親の背中をたださすっているうちに、
叔父は灰になりました。
53年の人生でした。

そして、時空を超えて叔父と再度一緒になった叔母のことも思い出します。

数年前、いつものように墓参りをしていたらふと
叔父の横にもうひとつ名前が増えているのを見つけました。
それは、間違いなく叔母の名前でした。

叔父が亡くなって13年、叔母は再婚もせず亡くなりそのまま叔父と同じ墓に入っていたんです。

それを見たとき、わたし思わず涙が溢れました。
叔母は叔父のこと、心から愛していたんだなと。

愛する人が自殺して、
親戚一同から糾弾され爪弾きにされて、
それでもその人の墓は自分で建てると頑なに言い張り、
そして時を経て同じ墓に入る。
どんな思いだったんだろうと想像すると、人生の壮大さに圧倒されます。

なのでうちは同じ霊園にお墓がふたつあるんです。

朝出た頃小雨だった天気は、叔父の墓へ到着する頃には太陽が覗いていました。

あの空の上で、二人はやっと平和に仲良く暮らしてるんだろうなと思います。

帰りがけにふと実家に寄ってみましたが、出払っていたのか人のいる気配はありませんでした。

実家を眺めながら見上げた空は、叔父の墓で見た空になんだか似ているような気がしました。